大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)407号 判決 1966年11月10日

上告人

日進産業株式会社

右代表者

岡沢真一

被上告人

与曽田吉清

主文

上件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一、第三及び第四点について。

所論の点に関する原審の事実認定は挙示の証拠によつて肯認し得、その判断の過程に何等所論の違法はない。それ故、論旨は採用に値しない。

同第二点について。

手形法第七七条二項、第一〇条によれば、白地の約束手形について、予めなした合意と異る補充がなされた場合、その違反はこれを以て悪意又は重大な過失なくしてこれを取得した所持人に対抗できないと規定されているが、この規定は、既に合意と異る補充のされている手形を悪意又は重大な過失なくして取得した所持人に対する場合のみならず、悪意又は重大な過失なくして白地手形を取得した上、予めなされている合意と異る補充を自らした所持人に対する場合にも、適用あるものと解するを相当とする。従つて、これと同趣旨に出た原審の判断は正当であり、論旨は理由がなく、採用に値しない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(松田二郎 入江俊郎 長部謹吾 岩田誠)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例